IT資産管理ツールはビジネスの基盤となるIT資産を総合的に管理するための強力なツールです。

企業が所有するハードウェア、そのハードウェアにインストールされたソフトウェアなど、あらゆるIT関連の資産データを一元管理し、そのライフサイクル全体を追跡・管理できます。

これにより、資産の配置、使用状況、保守・更新のスケジュールなどを把握し、コストやリスクを最小限に抑えることが可能になります。また社内のデータサーバーのログ集積から、従業員のエンドポイント端末の利用状況に至るまで、あらゆるデバイスに紐づく情報をリアルタイムで手に入れることできます。

このIT資産管理能力を武器に、企業は経営資源を最も効果的に投資し、管理工数を削減し、セキュリティを高めることができます。

なぜIT資産管理ツールが必要なのか、その導入メリットと目的を4つのポイントでご紹介します。

管理業務の効率化

IT資産管理ツールを導入することで、資産データの自動収集や資産管理台帳の登録・管理が可能となり、手動でのデータ入力や更新作業が不要になります。

これにより、管理工数を大幅に削減できます。
さらに、OSやソフトウェアの一斉更新指示が可能で、個別のデバイスを手動で更新する手間を省けます。

PCの設定変更やアプリケーションの配布も自動化され、対象PCの判別やアップデート期限のアラート表示機能により、システム管理者の負担が軽減されます。

コンプライアンス・内部統制の強化

企業内のハードウェアやソフトウェアの情報を一元管理することで、ライセンスの使用許諾範囲を超えたインストールを防ぐことができます。

IT資産管理ツールは、ライセンス・契約情報と利用実態を照合し、不正利用や規約違反を未然に防ぎます。また、利用期限が切れたOSや不具合のあるソフトウェアを自動で検出し、通知する機能も備わっています。

さらに、アクセスログや操作ログの確認が可能で、機密データの不正持ち出しを抑止する効果もあります。

セキュリティ・脆弱性対策

サイバー攻撃やマルウェアの対策にはセキュリティパッチの適用状況を把握することが重要です。IT資産管理ツールにより、アップデートの実行漏れを防ぐことができます。

また、退職後やプロジェクト終了後にもソフトウェアにログインし続けられる状況下にあった場合、情報漏洩のリスクもあります。IT資産管理ツールはそういった削除漏れのアカウントを検知し、自動で削除する機能も備わっています。

このようにIT資産管理ツールを導入することで、企業はセキュリティリスクを軽減することが可能です。

無駄なITコストの削減

IT資産管理ツールを導入することで、企業は無駄なITコストを大幅に削減できます。

保有するハードウェアやソフトウェア、ライセンスの利用状況を明確に把握できるため、余分な機器の購入を防ぎ、適切なタイミングでの買い替えやOSの更新が効率的に行えます。

また、未利用アカウントを検知しライセンス契約の見直しをサポートすることでIT資産を最適化することが無駄なコストの削減に役立てることができます。

IT資産管理は、ハードウェアからソフトウェアまで多岐にわたり、企業の規模が大きくなるほど管理する資産の数も増加します。

その結果、運用が複雑化し、管理者にとって大きな負担となります。効率的に管理するためのIT資産管理ツールには以下の機能が備わっています。
・ソフトウェアライセンス管理
・ハードウェアの契約管理
・セキュリティパッチの配布
・ソフトウェア配布
・シャドーITのアクセス検知
・デバイス制御

IT資産管理ツールを選ぶ際のポイント

①導入目的を明確にできているか

まず導入目的を明確にし、その目的を達成するために必要な機能が備わっているかを確認することが重要です。

ツールによって対応範囲や機能は異なるため、何を実現したいのかを優先順位をつけて考えるとよいでしょう。

②対応しているOSやデバイスに合っているか

IT資産管理ツールには、特定のOSにしか対応していないものや、OSによって機能が制限されるものがあります。デバイスの種類やOSに関係なく、WindowsやmacOSなどを一括で管理できるツールを選ぶことが重要です。

複数のデバイスやOSを一元管理できるツールを使用することで、業務の属人化を防ぎ、運用の手間やリソースを削減できます。

③自社セキュリティポリシーと合っているか

IT資産管理ツールを選ぶ際には、資産管理だけでなく、自社のセキュリティポリシーに適合するかを確認することが重要です。

特定ソフトウェアの利用禁止やWebサイトの閲覧制限などの制御機能があるツールを選びましょう。

過度な利用制御は業務効率を下げる可能性があるため、操作ログ管理機能を備えたツールも検討すると良いです。これにより、不正行為を抑止し、問題発生時に迅速に対応できます。

IT資産管理ツールと類似した機能を持つものに、SaaS管理ツールがあります。
SaaS管理ツールは、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴って急増する、
SaaS(Software as a Service)を効率的に管理するためのツールです。

多くの企業がオンプレミスからクラウドへの移行を進めている現代において、従業員一人ひとりが使用するSaaSの種類、利用度合い、そしてこれらが生み出すデータとコストのバランスを理解することが非常に重要です。

そこでSaaS管理ツールは利用状況に基づいて、ライセンスの購入や更新の判断を助けることで、企業がSaaSのコストを最適化し、予算内で効率的にSaaS製品を利用できるようにします。
そして、SaaS管理ツールはシャドーIDを検知し、不正なアクセスやアカウント削除漏れのリスクを減らすことで、SaaSをより安全に利用できるようにします。

前述した通り、IT資産管理ツールは物理的なITインフラの管理に重点を置いているのに対して、SaaS管理ツールはSaaSを管理することに特化しています。

また、IT資産管理ツールはオンプレミスの製品が多いのに対し、SaaS管理ツールはほとんどがSaaS製品です。そのため、IT資産管理ツールの場合、各エンドポイント端末へのインストールが必要で、導入のハードルが高くなりがちです。
一方、SaaS管理ツールは管理者側の簡単なセットアップのみで済むため、導入のハードルは非常に低いです。

併用によるシナジー

そしてIT資産管理ツールとSaaS管理ツールの併用により、組織はIT戦略において、より統合的なアプローチを取ることができます。

物理的な資産の管理を強化しつつ、SaaSの利用を最適化することで、IT資産の全ライフサイクルを通じたコストの透明性が保たれ、セキュリティリスクが低減されます。

そして結果として、IT部門は経営層に対してより明確な情報を提供することができ、より良い意思決定を下すための支援が可能になります。経営資源が有効に活用されることで、全社的な成長とイノベーションを加速することができるのです。

IT資産管理ツールとSaaS管理ツールは、現代の企業にとって不可欠なツールであり、それぞれ単独で使用しても大きな価値を提供しますが、併用することでその価値は飛躍的に増大します。

これらのツールを活用することで、企業は資産の全体像を把握し、コストを削減し、セキュリティを確保することができます。

SHIFTのSaaS・IT資産管理ツール「ワスレナイ」を活用することで、この統合されたアプローチを実現し、組織のIT管理をより高いレベルへと引き上げることが可能になります。

そして「ワスレナイ」にはSaaS管理だけではなくハードウェア台帳管理機能も実装されています。
現在はエクセルのようなシンプルな台帳管理機能のみですが、将来的には資産管理ツールと連携することにより、より効率的なハードウェア管理機能の提供を検討しております。
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